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「私は魔法で大人になれない」 sunny 今村陽子

2010年11月02日 22:28

sunny

後ろめたい恋をしていたハル。
人に言えない悩みを持つあきら。
一つ屋根の下で暮らし、やがてお互いの苦悩を癒し合う。

恋と家族の物語「sunny」全1巻の感想です。

表紙より、男性一人が何故か渋面を浮かべていますが、女子高生三人は手を繋いで楽しそう。絵柄も少女漫画のように柔らかい線で描かれており、寝そべる草原の色合いやオレンジで縁取られた題字など、暖かく楽しげな様子が想像されます。
ほのぼのした作風を期待して手に取ってみれば、なんてこったい、トラウマの話かよ!

兄嫁に横恋慕していたハル。
ハルのことが好きだった兄嫁。
そのことを知っていた娘のあきら。
苦悩する母と、その姿を見続けてきたあきら。

だからと言って話が重いだけではなく、笑いあり涙あり家族の暖かさも兼ね備えた大変素敵な作品で御座いました。
こいつは買って正解でした。

以下、感想です。
兄夫婦の死を切っ掛けに姪の保護者となったハル。
子供の頃はすっかり男の子と思っていた姪のあきらだが、久しぶりに会って実は女の子だと知り難色を示すハル。その上、あきらは既に同級生の友人・絹子、郁と同居生活をしており、一気に女子高生3人の保護者代わりとなることに。

兄嫁に恋していたハルは内心複雑な思いで、あきらが高校卒業するまでの3ヶ月間、我慢して保護者となることを承諾する。その後、保護者にハルを指名した理由をあきらが告白した。

「ママの好きなひとをみてみたかったんだ」


そして4人の同居生活が始まる。

そういう話。


誰にも話せない悩みを抱え、一人で苦悩するあきら。その背景でハルが兄嫁に抱えていた複雑な思いと、兄嫁も心に秘めていた想い、そしてそのためにいびつになってしまったあきらの家庭が語られていきます。
そもそもあきらの母からして実家で父親に家庭内暴力を受けており、「あきらに対し同じ事をしてしまった」と負の連鎖に苦しむ姿が描かれています。

ハルが持つ兄嫁の思い出で彼女は楽しそうに笑い、きらきらと輝いていて。
あきらの持つ思い出の母は秘密が漏れることを恐れ、頭を抱えて苦悩していて。
2人の持つ同じ人物に対する思い出が全く対照的に描かれています。
かといってどちらが本当というわけでもなく、友人達の証言や残された日記に綴られた想いから両方を合わせ持つのだと言うことを知り、それでもやはり自分の家族と、娘のあきらを愛していたのだと知ります。

ところが、あきらの持つ悩みの原因はそれだけではなく、自身のしでかしてしまった事のへの恐怖が最後に明かされます。
そしてその罪を一緒に背負い助けてくれるのは、母が密やかに恋した相手、ハル。

取り返しの付かない過去は消せないため手放しでハッピーエンドだとは喜べませんが、それでも新しい家族と暮らすことでこれからも生きていくことが出来ます。
それでも、死者との思い出を語られると切ない。


ところで、あきらの身長の低さといい獣のような飢えっぷりといい小動物的な部分で「ハチミツとクローバー」のはぐみを思い出してしまいました。なんだかキャラ的に似通った部分があります。ふてくされてる時の顔なんかも含めて。
今回1巻完結ということでデフォルメされた姿はあまりお目にかかれませんでしたが、ひょっとして長期連載になってたらそのうちハムスター化かコロボックルのコスプレでもしてたかな、と思うとちと残念です。

あと、ハルさんうらやましいっス。
女子高生3人と同居したり、3股の修羅場を疑似体験したり、何が不満なんだかいつもムスッとして。最初は面倒だからと嫌々だったのに後半はその生活を満喫していましたよ。
兄へのコンプレックスでお悩みのようでしたが、あんた十分勝ち組だよ。

なにはともあれ面白かったです。
今まで今村先生の作品は読んだことがなかったのですが、これからは要チェックですよ。




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