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「…ぼ、僕は、僕はあの人に勝ちたい」 学校の階段 9~10 櫂末高彰

2010年09月25日 00:46

学校の階段_s10

 ああ、そうか。
 その声が聞こえたとき、一番に思ったことはそれだけだった。


疲労困憊、ぶっ倒れるまで走り抜く「学校の階段」原作小説9~10巻の感想です。

漫画版1巻の感想はこちらから。
原作小説1~5巻の感想はこちらから。
原作小説6~8巻の感想はこちらから。

いよいよ小説「学校の階段」の感想も大詰めのラスト。
勝一との階段レース中に覚醒してしまった幸宏が、同じく覚醒済みの階段部副部長・刈谷健吾に正面から挑みます。

なお、短編集「学校の階段の踊り場」につきましては、来月(2010年10月)末に発売予定の2巻を読んでから感想を書くか判断する予定です。

以下、感想です。
新生徒会長も決まり、年明けから気合いの入る面々。
筋肉研究部は毎年恒例の『新春奉納演舞』を神社の境内で行っていた。

「もっと、もっと来い! 高ぶって来い! 我らの筋肉を神々に捧げろ!!」
 掛け声とともに男たちが各々の全身全霊をもってモスト・マスキュラーを決める。刹那、稲妻の如き筋肉の炸裂音が辺りを打ち据えた。木々が震える。筋肉の呼び声に応えている。天照大神よ、そこにおわしますか。
「出たっ! ついに出たよ、爆発バルク!!」
「前代未聞の大饗宴だよ!」
「世紀を越えた天孫降臨!」


そんな彼らが、何の因果か同士・神庭幸宏の所属する階段部と対決をすることになってしまった。
だが彼らの筋肉は喜んでいた。互いの鍛え上げた肉体を讃え合える絶好の機会に。
そして階段部からはショート最強の男、「必殺Vターン」の異名を持つ刈谷健吾が前に出る。

 刈谷はラットスプレッド・フロントで待ち構える合田に向かい、言った。
「合田。お前には及ばないが、俺もそれなりに鍛えているんでね」
 そして、シャツの裾に指をかける。


今、筋肉研究部と階段部の壮絶な戦いが幕を開ける。


いやはや恐ろしい。まさかこれまで階段を駆けてきた青春物語が9~10巻で筋肉研究部メインの話へ移行するとは。
1巻からやたらと筋肉が主張されていると思ったら、このための伏線だったのですね。

とまあ冗談はさておき、9巻では3年生の卒業を目前に控えての次期部長決定戦です。
1,2年生でショット・スタンダード・ラリー3種のレースを総当たり戦。その中で最も成績優秀な者が現部長・九重ゆうこへの挑戦権を得、その実力を認められれば部長就任です。

ところが、序盤のショットレースで好成績を収めた幸宏が、スタンダード、ラリーと距離が長くなる毎に成績を落としていきます。
何かに取り憑かれたように、全てのレースで全力疾走を続ける幸宏。部長決定戦を諦めたわけではないと本人は言うものの、見ているものは明らかに勝ち負けとは別のものです。


ある意味絶好調なまま最終巻に突入するものの、幸宏は自分から質問しておいて答えがしっくり来ずに逆ギレするという傍若無人ぶりを発揮します。
それでも基本的に人望はあるため、健吾との最終決戦のため部員および他校の波佐間勝一からもサポートを受け訓練にもますます熱が入ります。

その一方で、これまでの積み重ねが祟り「階段部殲滅作戦」が発動。階段部と因縁を持つ様々な部が学校中に散らばり、それぞれの定めた競技で階段部部員と勝負。部員全てが敗北した時点で階段部、そして幸宏の敗北となります。
その模様は1巻や選挙戦の時同様、放送部の協力を得て中継放映されました。そうしてお祭り騒ぎとなってしまったイベントは最早収拾がつけられません。
階段部に最大の危機到来です。

もっとも、周囲のテンションが高い上に階段部の面々も「上等」と真正面から受けているため、読者側が受ける緊張感や危機感は薄いです。更には山上桔梗院学園高校の面々も階段部の危機に駆けつけ、いよいよクライマックスに相応しい盛り上がりを見せます。
ただし、幸宏だけは別です。彼はちょうどその日に健吾との最終決戦を約束しており、「邪魔をされた」という怒りと「自業自得だ」と反省する失意で打ちのめされてしまいます。

この件に関して、頭から読み進めていけば、事件の首謀者が何を目的としているかは容易に読み取れます。
階段部を廃部に追い込むための作戦でありながら、幸宏が周囲からとても愛されていることが伝わってきます。
「自業自得」は自らの悪だけでなく良い行いの報いも受けるわけですが、視野の狭まった幸宏には「悪い行為の報い」としか見えません。しかし、別の視点からは彼を好いて、心配した結果の行動であることがよく分かります。
これまで幸宏がやってきたことの積み重ねが、正に「自業自得」として現れていました。

最終巻に相応しい、厚い下地の上に書かれた物語でした。
そして迎える最終決戦。その結末は推して知るべし。
3年生が卒業し、そして新たな年が始まって「学校の階段」は幕を降ろします。

主人公である幸宏が暴走気質であるため時々力技で進む面はありましたが、全体的に非常にまとまりがあり、一本筋の入った作品でした。生徒会長選挙の部分は毛色が異なりますが、それ以外はぶれのない、駆け抜けた青春物語です。
大変面白う御座いました。

この作品の漫画版が最後まで続いて、かつNHKとかでアニメ化することを切に願います。
あとは短編集の2巻と、櫂末先生の次回作に期待ですね!
次はどんな物語を読めるのか今から楽しみです。







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