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「日の当たらぬ薄暗い場所で本を読むのさ」 青年のための読書クラブ 2 原作 桜庭一樹/漫画 タカハシマコ

2010年09月11日 21:00

青年のための読書クラブ_2

神などいないくそったれな世の中で、空っぽの南瓜の中に布教のための神学校を造る。
聖マリアナ学園100年間の裏に潜む語られない黒歴史「青年のための読書クラブ」2巻の感想です。

1巻の感想はこちらから。

Web雑誌である「FlexComix フレア」にて無料連載中の本作ですが、1話1話の更新期間が長かったのでどうなるものやと思っていました。
が、杞憂だったようで。
いつの間にやら話も進み、順調に連載も続いていました。
良かった良かった。

ですが相変わらず更新頻度は不規則に長く、3巻が出るのはいつのことやら。
実を言うと、今巻に収録されている第3章が聖マリアナ学園創始者の物語であるため、勝手に「2巻で終わりそうだな~」と思っていたのですが、巻末にて現代編の第4章が始まっていましたから。

ちょいと調べたところ、全5章で最後に未来の話があるようですね。
てことは3巻完結なのでしょうか。
待ち遠しい。
しばらくは続巻を待つ悶々とした日々が続きそうです。

以下、感想です。
2巻は3章「聖女マリアナ消失事件」がメインです。

今まで日本の聖マリアナ学園という閉じられた世界を舞台にしていたので、突然100年前のパリに舞台を移すことに困惑します。

神に仕えるものから生まれた兄妹が二人。
兄のミシェールは5歳の頃ラバから落馬し、右足を引きずって生活をしています。そのせいか親から見放されたと言い、大学に行くと言ってもらった金を街で浪費し面白おかしく暮らす毎日。
「神などいない」と常々語っており、妹を愛しながらもその清らかさに後ろ暗い思いも持っているようです。
一方で妹のマリアナは父の跡を継ぎ修道院で神に仕える乙女。夢は遠い異国で教育者となり布教を行うこと。
美丈夫な兄を誇りにする反面、神を信じないことに心を痛める場面も見受けられます。

この妹・マリアナが望みを叶えて建てた教育機関が聖マリアナ学園となる訳ですが、設立40年後には創始者マリアナが突然失踪してしまいます。
表舞台では決して明かされることのない失踪の真実。それは1960年の読書クラブ誌に<両性具有のどぶ鼠>の手により記されました。


さて、どの程度ネタバレして良いのやら困りものですね。
なぜ一介のクラブ員がそのことを知るかと言えば、偶然失踪したマリアナと出会い、「年齢や国籍などを超えた無二の親友」になれそうな気がした、ということで身の上話を明かしたためです。

そこへ「烏丸紅子恋愛事件」の首謀者である幼い時分の妹尾アザミが現れたのはなにやら運命的なものを感じます。
逆算して初等部の頃となるでしょうか、後の演劇部の王子様と一緒に歩く様子から、この頃はまだ美醜を超えた仲の良い付き合いをしていたことが分かります。
しかし後にその袂は別れ、いずれ妹尾は烏丸紅子という王子を立て、裏から学園の注目を支配するわけです。

紅子の皮に妹尾の頭。
その皮と中身の違いがマリアナの構図と被って見えるのです。
一方で石を投げられ学園を追われる者があり、一方でマリアナはそうなる前に自ら消えました。
各々に違いはあるものの、ここでようやく「物語が繋がった」と思えたのです。

なんならこの「聖女マリアナ消失事件」が「烏丸紅子恋愛事件」の直後にあればすんなり繋がったのに、と思ったのですが、原作では元々「烏丸紅子恋愛事件」→「聖女マリアナ消失事件」→「奇妙な旅人」の順だったようです。
順番を変えたのは構成の問題でしょうか、単行本化の際の尺の都合でしょうか。

ともあれ、その場でマリアナからどぶ鼠へ渡される友情の証・苺の香水が手渡され、ここでも上手く次章「一番星」へと繋がります。

「烏丸紅子恋愛事件」→「聖女マリアナ消失事件」→「一番星」の繋がりはきれいに整っていて良いですね。
こうしてみるとむしろ「奇妙な旅人」の繋がりが薄くてちょっと残念な気さえしてきます。


もう一つ気になるのは、ことの顛末をどぶ鼠から伝え聞いた読書クラブの面々がしている考察です。

「兄を亡くして狂った修道女」


まあ、本人と接したどぶ鼠によってすぐさま否定されるわけですが、個人的にはその考え方はヒットでした。何せ、兄の病気が神への祈りによって完治するだなんて奇跡、現実には起きようもないのですから。
本作はファンタジーではないので、そういった現実的などんでん返しがあると個人的にすんなり納得がいったのです。
その節に裏付けを取るために「引きずってる足が逆になってないか」みたいな見方もしてみたのですが、やっぱりちゃんと右足で統一されてあるみたいですね。
目論見が外れました。残念。


4章については冒頭の1話目のみが収録されており、話の展開は今のところさっぱりです。
が、クラブ誌の「聖女マリアナ消失事件」の記述を読み、マリアナから受け継いだ苺の香水を嗅ぎ、ここから内気な山口十五夜がロック・スターへと変貌をしていくのでしょう。
彼女の造る新曲のタイトルは「絞首刑 ―前略、加藤凛子を埋葬せよ!―」。
凛子の後についてグラブに入った十五夜だというのに。周囲からエス(純情なレズみたいなもの)と揶揄される仲であったというのに。
彼女たち二人の間に何があったのか。

続きが気になるところです。




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