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「手を伸ばしても無駄なこと」 魍魎の揺りかご 1 三部けい

2010年08月28日 00:44

魍魎の揺りかご_1

殺人鬼が追ってくる。
殺人鬼は致命傷をもものともしない。
殺人鬼は感染する。
生き残れる者はわずか。

量産される殺人鬼から逃れるスプラッターホラー「魍魎の揺りかご」1巻の感想です。


作者の三部けい先生と掲載誌であるヤングガンガンの組み合わせで思い出すのは、連載終了の記憶も新しい孤島ミステリー「鬼燈の島」です。
子供達の妄想が恐怖を生み出した物語の終了からおおよそ一年。
次なる物語は、転覆した客船というまたもクローズドサークルが舞台です。
ただし、今度の敵は妄想ではありません。はっきりとそこに存在し迫り来る恐怖、殺人鬼。

時系列的には前作「鬼燈の島」の10数年後のようで、盲目の少女・鈴原夢の成長した姿が見られます。
立派に成長したなぁ――と感慨深く思う暇もなくえらいこっちゃですよ。

以下、考察(というか感想というか)です。
殺人鬼が斧を持って襲い来る。
鮎川真琴は友人の雅と共に、薄暗いどこかで殺人鬼に遭遇した。真琴は運良く逃れたものの、残されたのは斬り落とされた雅の右腕。

アフリカへ修学旅行へ行った帰り、客船が転覆。
逃げ場のない逆さまの船の中、船体は揺れて崩れ、閉じ込められて逃げ場を失う。

血まみれの殺人鬼が人を襲う。教師は生徒を守るため果敢に戦うが、致命傷に思えた一撃も殺人鬼には通じない。いや、明らかに致命傷であるにもかかわらず、ゾンビのように襲い来る。その怪力の前に為す術もなく二ノ宮先生は殺人鬼の餌食となり――
再びまみえた時、生徒の安堵も束の間、今度は二ノ宮生徒達を襲うのであった。

救助は向かっているはずだ。
だが、果たしてそれまで生き残れるのか。


前作「鬼燈の島」は子供達の被害妄想こそが敵であり、本当は命の危機などありませんでした(色んな意味でパーフェクトなクワダテは別として)。
しかし、今回は冒頭から人死にが出ています。どころか、子供も大人ものべつ幕無し死んでいきます。

生き残りが確定しているのは1巻時点で7人。
1,鮎川真琴 (主人公)
2,滝川君  (リアリストの自己中心。真琴と同行中)
3,春日君  (フェミニン。真琴と同行中)
4,宮村カナ (混乱中? 自己中心。真琴と同行中)
5,縞田君  (両足が不自由。車イスにて移動。真琴と同行中)
6,鈴原夢  (盲目少女)
7,俊介君  (船上で知り合った幼い男の子。一人逃走中)

また、殺人鬼も一人ではありません。
(1)冒頭では斧を持つ男性が。
(2)中盤では味方だったはずの二ノ宮先生が。
(3)後半ではサーベルを持った老紳士が。
(4)女子高生の死体に群がり死肉を貪る三体の殺人鬼。
(5)真琴と共に脱出を図る滝川も春日も、事故ながら老婦人を一人殺害。
(6)終盤には夢も同級生の西島をナイフで刺し殺したような描写も。

殺人鬼は感染し、その数を増やします。
ただし、ミスリードなのか条件があるのか、上記の全てが殺人鬼ではありません。

ここでの殺人鬼とは、感染したゾンビっぽい奴らを指します。
(5)は主人公一行であり、事故なのでカウントしません。
(6)の夢も感染はしていなさそう。何かしら手違いがあったように考えられます。正当防衛で殺してしまったか、刺されていたのを助けようとして抜いたのかは現状不明です。
逆に(1)(2)(4)は感染した殺人鬼で確定でしょう。どう見ても立派なゾンビです。

分からないのは(3)の老紳士です。
奥さんである老婦人によると、「夫は大勢の人を殺した」と言います。
そして、確かに感染していないであろう船客の女性を一人殺す描写があります。
が、遭遇した俊介君については目が合ったにも関わらず何もせずに立ち去りました。

・彼は本当に感染しているのか。
・殺人鬼にも殺人を犯す条件があるのか。

情報が少ないため判断できませんが、生き残りの鍵はそこにあるような気がします。
最初、老紳士は感染などしておらず、しかし感染の原因を知っており、殺人鬼を排除して回っているのかと思いました。が、被害者の女性は見た感じ感染者ではないようでしたし、老紳士の目を見るに、他の殺人鬼と同じ健常ではない瞳をしています。
彼の今後の行動には要注意です。

少し話はそれますが、(4)に関して。
滝川が手を滑らせて殺した、ということになり責められていますが、読み返せば春日が故意に力を緩め、そのせいで鉄板を落としてしまったように見えます。
春日は人当たりの良いフェミニストに見えますが、足手まといの縞田を「置いていこう」と提案するなど、中々にドライな面もあります。偽善者とまでは言いませんが、「助からない」と思った老婦人について諦めていたことは本人も認めていまし、老婦人の死は春日に因るものと考えます。

* 老婦人の言葉に関して、実は滝川は全部分かってて春日をかばってるのかなぁと思いロシア語を調べてみたら、
 「Убей(殺しなさい) меня(私を)」
 という意味で、ちゃんと合ってました。気になる方はGoogle翻訳でお試しください。

まだまだ謎の多い1巻。
待ち受けるのは絶望か。
次巻の発売が待ち遠しいです。

それにつけても夢の今後が凄く気になります。




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