--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「憎悪。腹の底はただそれだけである」  シグルイ 13 原作 南條範夫/漫画 山口貴由

2009年09月22日 22:59

シグルイ_13

神君家康の血を引く忠長のお膝元・駿河にて虎は静かに牙を研ぐ。
相打つ龍は彼の首に牙を立てる時を待つ。
残酷無残時代絵巻「シグルイ」13巻の感想です。

12巻の感想はこちらから。

舞台を駿河へと移し、諸所に顕わとなる忠長の異常性。
それは彼の憎悪が故であった。

兄・家光が憎い。
駿府城が憎い。
神君家康の全てが憎い。

この男、正気の沙汰ではない。
狂っている。紛うことなく狂っている。
忠長の狂気が駿府城を覆う。

「掛川で討ちたるは"虎の中の虎"
 "猿回しの猿"とは比べものになりませぬ」

意外に思える程の清玄の評価。
盲いた龍は隻腕の虎を高く買っている。

故に討たねばならぬ。
こびり付いた劣等感を拭い去るために。


見れば見るほど龍は完璧である。
造形も然ることながら、弁も立ち、機転が効く。
盲いた目など、裂けた足など、どうだというのか。
画竜の点欠にもならぬ。のみならず、既にそれは必殺の一撃を放つための布石の一つへと昇華された。
天に愛された龍。
人に愛される龍。
出世の道を登る龍。

それを唯一阻むのが、瀕死の虎である。

殺したはずの虎が蘇った。
牙を片方捥いでやったというのに、もう片方を更に大きく、鋭く磨いて。

虎は何も持たない。
故に恐れが無い。

虎に未来は無い。
故に迷いが無い。

一切は背負う乙女のため。亡くした主人のため。
虎は龍の首根を食いちぎる。そのこと意外はすべて雑念。
しかし虎は忘れられぬ。龍と交わしたあの太刀筋を。
不意にもたらされた龍とのそれに似た模擬試合。
構えた牙は二つ。しかし、その身に牙は今や一つ。
故に、受ける。偽者とはいえ、龍の一撃を。

疼く。
右腕が。断たれた根元が。
疼く。
心が。負け戦の過去が。

「笹原どの
 工夫がつきましてござる」

虎は、いや、藤木源之助は生まれついての士でござる。
士の家に生まれたる者のなすべきは、お家を守る、これに尽き申す。
そのためには誹謗など、嘲笑など、何するものぞ。
例え邪法と蔑まれようと。正気を疑われようと。

伊良子清玄を討つ。
その外に思うことなし。

"此度の武芸 真剣を以ってせしむべし"

遂に始まる。
殺し合い、再び。




コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://questmys.blog64.fc2.com/tb.php/323-3f067d83
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。