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「継がれた歴史がここにある」 プリンセス・トヨトミ 万城目学

2009年06月01日 22:55

プリンセス・トヨトミ

「5月末日木曜日、大阪全停止」

「鴨川ホルモー」で京都を、
「鹿男あをによし」で奈良を、
舞台に選んだ著者の次なる新天地は、大阪であった。
大阪が全停止する。
そんな馬鹿げた事がありうるだろうか。

ありうるのだ。
いや、"ある"のだ。

「このことは誰も知らない。
 五月末日の木曜日、午後四時のことである。
 大阪が全停止した。
 長く閉ざされた扉を開ける"鍵"となったのは、
 東京から来た会計検査院の三人の調査官と、
 大阪の商店街に生まれ育った二人の少年少女だった――。」

見慣れた風景にふと現れたひょうたん。
淀川が赤く染まった。
大阪のそちこちに現れる"16"。
止まらぬ電車。
いなくなる男達。

「なんてこった」

誰かが漏らした。

「ホンマやったんや……」

誰かが呟いた。

「今さらですけど、親父に謝らないといけません」

死を前に父から伝え聞く、荒唐無稽な御伽噺。
その全てが真実、全てが事実。
400年間、歴史の裏で語られてきた、決して表には出ぬ真実。

重ねて言う。
「このことは誰も知らない」

表紙にて、大阪城を背景に読者に背を向ける3人。
彼らこそが物語を動かす3人の調査官。

右の男性が副長の松平。
国税の無駄遣いを正す検査の鬼。
けれど大好きアイスクリーム。日に5、6個は当たり前。

真ん中の長身女性は旭・ゲーンズブール。
見目麗しきハーフの美人。
ハーバード出の才女でもある。
生まれはフランス、育ちは日本。
けれどフランス語は話せません。

そして最後に左の鳥居。
見たまんまのチビデブ。
けれど異名は「ミラクル鳥居」(下痢)。
揶揄の言葉ではない。れっきとした賞賛である。


そして並行して語られるもうひとつの物語。
主演は大阪生まれの少年少女2人。

1人は真田大輔。
女の子として生きることを決めた少年。
6年間胸に秘めた思いを、遂に行動に移した強者。
けれど異端者には敵が多く。
されど仲間は傍にいる。

1人は橋場茶子。
大輔の一番の味方である、幼馴染の少女。
彼を守るため彼女は1人奮闘する。
勝気で負けん気、無鉄砲。危なっかしい事この上ない。
守られているのはどちらなのだか。


不正を正す3人の使者と、
信念を貫く少年少女。

彼らの物語が交わり、大阪の隠された歴史が片鱗を見せる。


一言で言えば「縦の物語」。
400年間続く歴史。父から子へ繋がる思い。

話の中盤からネタバレ要素満載なもので、どうにも感想が難しいです。
えーと、今度はいつドラマ化するんですかね、これ?

タイトルより中身を推して知るべし。
「プリンセス・トヨトミ」です。まんまです。
まんまだけどタイトルだけじゃ分かりません。読んだら分かります。

で、当のプリンセスは放っておいて、これは松平のための物語。
究極、彼が云十年もの間胸に痞えてきたしこりを取り除くためのもの。
堅物のおっさんですが、アイス好きだけでなく意外とお茶目な人物です。
その彼が真実を知り涙したその瞬間にこそこの物語は収束するのです。
大阪200万人の男性陣は、そのためだけに集まったといっても過言ではありません。
実際集まった以外何もしてないし。

「あなたは大人になってから、一時間でも、父親と二人だけの空間で話し合ったことがあるか?」

考えさせられる言葉です。
そしてなんだか感慨深いものでもあります。

親孝行、したいときに親はなし。

なんだか故郷に帰りたくなりました。




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