--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「とある偏屈の恋煩い」 夜は短し歩けよ乙女 5 原作 森見登美彦/漫画 琴音らんまる

2009年03月03日 22:30

夜は短し歩けよ乙女_5

森見登美彦氏が精一杯の乙女成分を腹の底から搾り出し書き上げた小説「夜は短し歩けよ乙女」。
そこに琴音らんまるさんが可愛らしい容姿を与え命を吹き込んだ漫画版。
最終第5集が発売され、遂に完結してしまいました。

原作感想はこちらから。
第三集までの感想はこちらから。
第四集の感想はこちらから。

名作です。
原作、漫画版共に揃って名作です。
実に面白い。そして可愛らしい。故に良いことである。

文化祭も終わり、時は師走。冬の駆ける足音が聞こえる季節。
「私」はゲリラ劇「偏屈王」を舞台ジャックして乗っ取り見事「偏屈王」のあだ名を手に入れた。
が、おかげですっかり忘れていたレポートが溜りに溜り、多大な課題を消化するため研究室に缶詰状態。これでは乙女と「なかめ」する暇すらない。
暇など無いが、買出しに出かけた先で捨て猫に情けをかけてしまった「私」。実は猫ではなく不細工な狐なのだが、猫としても不細工で、見詰め合った拍子につい「かわいくねえ!!」と苛立つ始末。
しかし、口ではどう言おうと性根の優しい「私」は雨露をしのぐ傘を与えたりカップうどんのおあげを与えたり、風邪を引いた猫(実は狐)のために暖めてやったりと大忙し。

一方、サークルが大掃除で休みと相成った乙女は帰りの道中出会った樋口と共に彼の根城である幽水荘へ。
ここでまさかの「四畳半神話大系」の主人公と小津が登場。名言はされていないが、樋口を師匠と呼ぶ黒髪の男こそ、唾棄すべき友人・小津である。となると、自然もう一方のニット帽の男が「四畳半神話大系」の主人公である「私」。
老朽化した幽水荘を補強すべく、その辺からかっぱらった看板を打ち付ける。

第五集1話目から実に良いオリジナルストーリーで始まりました。更に冬将軍・風邪・恋・失望と最終話「魔風邪恋風邪」に引き継ぐキーワードが巧みに盛り込まれています。
この物語が琴音らんまるさんの手により漫画化されたことは漫画好きの自分にとって幸運という他ないです。


そして続く最終話、「魔風邪恋風邪」。
「偏屈王」で先輩に抱きしめられ、彼を意識するようになった乙女の懊悩から物語は始まる。
初っ端から可愛らしい事この上ない。
悩める乙女心を振り払い大学へ向かえば、樋口から羽貫が風邪を引いて寝込んでいる事を聞かされる。冬将軍の到来と共に、世間には悪質な風邪が蔓延していた。

一方、「私」も友人である風邪っ引きの北大路を見舞うのであった。そこで病床の人恋しさは恋煩いに良く似ていると話す2人。
「私」も風邪を引き乙女に見舞ってもらいたいと願うものの、その兆候はさっぱり。恋に恋して恋煩う病的なまでに恋焦がれた彼は遂に頭痛を覚え、寒気を感じ、体調に不良を覚える。
それもそのはず。測ってみれば体温は38.2度。

「…これは恋わずらいなどではない
 ただの ただの風邪ではないか!!」

床に就き寒さに身を震わせ人恋しさに居ても立ってもいられぬ「私」。
そして「私」は夢を見る。

「オレは… 彼女を 本当に好きなのか?」

苦悩する彼は夢の中で、天狗・樋口清太郎と出会ってしまう。

話は乙女へ戻り、彼女はこれまでに知り合った人達のお見舞いへ向かう。
彼女の足跡は「私」の足跡。故に、彼女は「私」が彼女のために気をかけ、画策し、物事を進めていたことを知る。
また、風邪を引いた者達の元を追う内、この悪質な病は李白老を端に発している事を知る。
飲めば風邪などたちどころに治る妙薬・ジュンパイロ(潤肺露)を手にし、いざ、元凶・李白老の元へ馳せ参じる乙女。

「風邪じゃない時の風邪の薬は体に毒だよ
 なめすぎると鼻血が出るんだ」

とは古本市の神様の言葉。
ここ、大事なところ。
魔法の妙薬により李白老は復調したものの、最後の大くしゃみに吹き飛ばされる乙女。飛ばされ空中で出会ったのは、恋を諦め乙女を忘れ天狗へ変貌しようとする「私」。

樋口清太郎、斎藤周太郎に次ぐ3人目の天狗誕生の瞬間。しかしながら、それを防いだのは乙女から発せられた己の名を呼ぶ声(と、鼻を折ってった猫)。
我に返った「私」は、ようやく乙女の顔を見る。

「奇遇ですね!」
「…たまたま通りかかったもんだから」



大団円。これこそが大団円なのです。

念願叶って乙女に見舞われ、舐めたるは妙薬・潤肺露。これで風邪など一気快調。かと思いきや、「私」が垂れるは鼻血一筋。
これが風邪だと? 馬鹿にするにも程がある。
君のはそれ、そら、恋煩いだよ。

ラストはカラーで主要人物全員集合。何故か北大路だけ女装姿ですが。

読んで良かった大満足の全五集。
小説が面白い。漫画も面白い。揃って読んでなお面白い。
加えて琴音らんまるさんのオリジナルストーリーのなんとも出来の良いこと。本編の味を殺さぬどころか、活かして更に一味加える最高のスパイスとなりました。
名作に輪をかけた名作に仕上がり、感謝感激。良い作品を読ませて頂きありがとうございました。

アニメ化の話は今のところ無いとの事ですが、動く乙女も見てみたいです。





コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://questmys.blog64.fc2.com/tb.php/242-1b2af902
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。