--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ミミズクと夜の王 紅玉いづき

2009年02月25日 23:59

ミミズクと夜の王

ミミズクは何者かに食べられて死ぬ事を望む少女。夜の王は世界に絶望し魔道に堕ちた森に住む魔王。人にして人にあらざる者達の出会い、「ミミズクと夜の王」をご紹介。

読みたいなと思ったのは過去に紹介したWiiのゲーム「FRAGILE 〜さよなら月の廃墟〜」の感想を書いてから。
ゲーム中では大切なアイテムに込められた人々の想いがショートストーリーとして語られるのですが、その中の一つである「七色クロシェット」という物語が涙なくしては読めない感動の物語。
調べてみれば、作者は電撃文庫の作家さん・紅玉いづきさん。
これまで未読だったものの、彼の人の作品に触れ、読まずには居れないと探し回りました。

意外と発行部数が少ないのか、はたまた人気で売り切れなのか、見付けるまでに結構苦労しました。同作者の最新作「雪蟷螂」も売り切れ御免であっという間になくなっていたし。
次回新作発売時には要注意です。年一冊ペースなので次巻は2010年2月でしょうか。

以下、本編のレビューです。


登場人物全員が優しい人物で構成された、ミミズクのための暖かい物語。

物語の開始直前まで奴隷として辛い生活を強いられてきたミミズク。麻痺した心は現実を傍観し、顔では笑っているミミズク。しかし蓄積されたストレスは彼女の心を圧迫、耐え切れずに死を望むようになる。
今まで見てきた沢山の死体。死体は腐る。異臭を放つ。そんなものになるよりは、いっそ食べられて何も残らなければいい。
だからミミズクは食べられて死にたい。
森で出会った夜の王は、とても綺麗な容姿を持ち、月を嵌め込んだ様な双眸でミミズクを見た。

「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」

夜の王は彼女を食べなかった。
ミミズクが汚らしかったためか、人の身など喰えば穢れると言い、彼女の願いを一蹴する。

一方で夜の王に仕える魔物のクロはミミズクに何かと助言を与える。
クロは夜の王を魔道に引きずり込んだ張本人。彼は夜の王が描く絵が、特に赤で描かれた絵が好きであった。クロがミミズクを助け導いたのは、孤独な夜の王に温もりを与えるためかもしれない。

そして、魔王を討伐すべく森を訪れる人々。
王は四肢の不自由な息子のために。
聖騎士は魔王に捕らわれた人の子を助けるために。
聖剣の乙女は子供の出来ない自分が手に入れた娘のために。
王子はただ1人の友のために。
王国の全ての人間が魔王に虐げられた少女のために。

ミミズクは夜の王のために。
そして夜の王もミミズクのために。

それでも悲劇が起きるのは、優しい気持ちを向ける相手が異なるため。


前評判はそれなりに耳にしていたので構えて読んだのですが、それでも後半ウルッときました。
年取ると嫌ね、涙腺が緩くなっちゃって。

電撃文庫としては珍しく、挿絵が無い本作。かつて作者ホームページで連載していた頃は絵があったそうなのですが、受賞と刊行を機に削除されているとの事。
なので読んだイメージで言うわけですが、映像化の難しそうな作品です。ゆっくりとやさしい音色の音楽がつく様はイメージ出来るのですが、絵や映像をつけようとすると渋めの配役・着色となりそう。下手をすると地味な作品に終わってしまう恐れがあります。

これは文章を味わうための作品です。もしくはドラマCD。
紡がれる言葉を受け取り、己の心で空想するのがよろしいかと存じます。

「MAMA」及び「雪蟷螂」も頑張って手に入れたので、そちらもおいおい読んで感想を書こうかと思います。
今度は涙腺に負けないように気をつけよう。





コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://questmys.blog64.fc2.com/tb.php/236-372a0db1
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。