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青年のための読書クラブ 1 原作 桜庭一樹/漫画 タカハシマコ

2009年02月24日 23:40

青年のための読書クラブ_1

直木賞作家・桜庭一樹さん原作、女学校である聖マリアナ学園100年間の裏に潜む語られない黒歴史を、読書クラブ誌という一クラブの秘密誌の中に記した物語。「青年のための読書クラブ」1巻をご紹介。

FlexComixフレアなる雑誌に連載という事で聞きなれない方も多いかと思われますが、Yahoo!コミックの中の一つです。つまり無料。
2008/02/24現在、丁度1巻の続きとなる第3編第1話を読むことが出来ます。興味を持たれた方はこちらをクリック、連載中の扉ページへ進みます。
第1編第1話も公開中のため、雰囲気を確かめられてはいかがでしょう。

実は原作未読というか、桜庭一樹さんの作品自体未読です。「GOSICK -ゴシック-」シリーズを数冊所持しているのですが、積み中。しかしながら、本作を読んで以来積んである背表紙が気になる毎日。これは確実に心惹かれておりますね。
とりあえず、原作探してみようかと思います。

1巻収録は以下の2編。
・烏丸紅子恋愛事件
時代は1968春~1969秋。
田舎生まれの子爵家の愛人の子が学園中から相手にされず、最後に辿り着いた「読書クラブ」で部長・妹尾アザミの手により学園の王子様に仕立て上げられる。

・奇妙な旅人
時代は1989春~同年冬。
バブル絶世期に聖マリアンヌ学園へ転入してきた「扇子の娘達」。成金娘はクーデターを起こすが、浅はかな行為の末敗退、「読書クラブ」へ亡命する。

いずれも校舎外れの赤煉瓦ビルに巣くう「読書クラブ」なるクラブを中心とした物語。
クラブの連中は静かに読書し、その内容について語り合い、その年に起こった出来事を読書クラブ誌へと書き記していく。
クラブの連中は何故か一人称がぼく。

そしてもう一つの中心は「王子」の存在。
毎年六月の聖マリアナ祭で投票により決定される、乙女達の憧れ、偽の男。
その者、夢に夢みし乙女達の歓声を一身に浴び、恋に恋する乙女達の視線を一身に受ける乙女の園の理想の具現。
1巻収録の2編に於いて、この王子の存在は欠かせないキーポイントとなる。


この中で、第1編、烏丸紅子恋愛事件が非常に面白かったです。
染み付いた貧乏のにおいに「くさい」「くさい」と陰口を叩かれ、文字通り鼻つまみにされていた烏丸紅子。しかし、その容姿は一目で分かる美しさ。
けして美しくは無い、どころか己の容姿にコンプレックスすら抱く「読書クラブ」部長の妹尾アザミは、彼女がクラブの門を叩いたときから頭の中で計算を始める。
「烏丸紅子」という美しき入れ物に、「妹尾アザミ」という純情・誇り、そして詩情を詰め込んで「王子」を作り上げること。
偽の男の座を、紛い物の容姿を使って手に入れる計画。

この妹尾アザミという女、実に頭が良く大衆の心を掴みます。また、クラブメンバーがアザミに寄せる信頼の高さから彼女のカリスマ性すら伺えます。

が、外道。

人々の心を操作する詐欺紛いの手口、クラブメンバーは洗脳でも受けたかのように彼女に従い行動します。特にメンバーの1人村雨蕾に至っては、アザミが画策する裏工作の報酬として体すら売り払う盲従振り。
それでも紅子は成功を収めたし、アザミの計画も成就しました。
その切っ掛けが入れ物の孤独だったとしても。
その切っ掛けが中身の劣等感だったとしても。

1969年の秋、紅子はお腹に子供を宿して学園を去ります。
その背に向けられる侮蔑の視線。
アザミは1人耳を塞ぎ、書物で顔を隠します。

各人の内面があまり語られない本作。では原作小説の方はどうなのでしょう。
紅子の栄光と失望の心中も気にはなるのですが、なにより知りたいのはアザミの心の声。
彼女は入れ物が石もて追われたその時に、どのような気持ちで目を瞑り耳を塞いで周囲を拒絶したのか。

類まれな醜男、エルキュウル・サヴィニヤン・ド・シラノ・ド・ベルジュラック。
彼の絶望の声が聞きたいのです。





関連記事リンク
・「空景-re-interval-」さん 「青年のための読書クラブ」
・「日々に暮らす」さん 本日の1冊 『青年のための読書クラブ 1』
・「たすくのきまぐれ書庫」さん 青年のための読書クラブ 1/タカハシ マコ
・「わなびざうるす」さん 『青年のための読書クラブ 1』タカハシマコ

以下は原作の関連記事リンク
・「夜間飛行」さん 桜庭一樹 『青年のための読書クラブ』


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