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花やしきの住人たち 3 桂明日香

2009年01月26日 21:48

花やしきの住人たち_3

聖花女子高等学校の女子寮、通称「花やしき」。心に傷持つ少年少女達には、そこしか住む場所がなかった。けれど、そこでの生活はとても楽しいものだった。
桂明日香さんが送る傷だらけの物語「花やしきの住人たち」最終巻をご紹介。

1巻を読んだ時点ではこんなに重い話になるとは思ってもみませんでした。

初対面から攻撃的なあやめに対し、安芸は悪印象を抱いていた。しかし、時折見せる女の子らしさや、歳相応の弱さ、心の危うさを目の当たりにし、放っておけないと思い始める。
蓮華が安芸に告白、安芸があやめに告白、あやめが蓮華に告白し、壊れていく3人の関係。
あやめが沈んでいくのを見かねた杜若は、元凶である安芸を殺しに訪れ、そこで中学時代彼らの身の上に何があったかを語る。
安芸はあやめの過去を知り、現状を省みて、自分は花やしきにいない方が良いのではないかと思い始めるのであった。

1巻でコメディー、2巻でシリアスストーリーを展開した本作。
作者談によると、1巻はオマケ、2巻がヤンでて3巻でデレるそうです(作者ホームページ[ad lib]2009/01/23のコメントより。日毎に上書き更新されているようなので、原文無しでうろ覚え)。
今回もネタバレ全開でレビューします。


借金塗れで父が失踪したため、住む場所をなくした安芸は、祖父を頼って聖花女子高等学校の女子寮、花やしきに住む事に。しかし、あやめのために自分は花やしきを出た方が良いと考える。
丁度その時祖父から失踪中の父が見つかったと知らせを受け、父に「自分も一緒に連れて行ってくれ」と願い出る。が、父はあやめを利用して脱走してしまい、結局花やしきに留まる事になった安芸。
父の失踪に責任を感じたあやめは、それからなにかと安芸の世話を焼くようになる。
親友の蓮華にすら嫉妬し仲を壊そうとする杜若は、あやめに性的なスキンシップを取ることで、自分から逃れられないように図る。タイミングよく安芸が訪れたため計画はご破算となったが、危機感を感じたあやめは安芸の部屋で寝泊りするようになる。


杜若はあやめに依存している。

「あやめが幸せなら僕も幸せ」

それは子供の頃にあやめが冗談で杜若を女装させた事に起因する。現在を見ても分かる通り、その姿は瓜二つ。実の親でも気付かない程(唯一の例外は親友である蓮華)。
父から虐待を受けていた時、「あやめには言わないで」と繰り返していた杜若。
「あやめには手を出さない」ことを約束し、父の暴力に甘んじていた杜若。
そうすることであやめを守れる。あやめが幸せならそれでいい。

「あやめが幸せなら僕も幸せ」

何故ならば、あやめの格好をすれば殴られないから。あやめの服を着てかつらを着ければ、いつでも「幸せなあやめ」になれる。あやめは壊れてはいけないし、不幸になってはいけない。幸せなあやめがいるから、幸せなあやめになれる。
だから、

「あやめが幸せなら僕も幸せ」


杜若のあやめに対する保護欲は自分のため。依存し固執するのも自分が幸せなあやめになるため。
だから、安芸によってあやめだけが幸せになると、杜若の「あやめになる幸せ」がなくなってしまう。

「私 あやめちゃんは安芸ちゃんを好きになると思うの
 …なんて… ただのカンだけど」
「うん 僕もそう思った」

蓮華の失恋旅行に着き合わされ、珍しく心中を吐露する杜若。
彼女と話す内に、どうやって花やしきに入寮したのか、という話題になるが、正式に入寮したわけではない杜若は、花やしきに住んでいる感覚は無いと語る。
そのことに感じ入るところのあった蓮華は、花やしきに戻る際、「ただいま」の挨拶をするよう強要する。

杜若にとって家に帰ることは恐怖に結びつく。帰れば父から虐待を受けるから。
「ただいま」
もしもあやめがいなかったら、家で待っているのは暴力。痛みと恐怖。
「おかえり」
笑顔で迎える蓮華。その姿が、夕飯を作って待っていてくれたかつてのあやめと重なる。
安心した杜若は不安の象徴であるナイフを落とし、蓮華に抱きつく。
ヤンでる杜若が蓮華にデレた瞬間である。

日頃から美少女2人でレズ疑惑のあるあやめ。更に最近では花やしき唯一の男性である安芸と同棲し注目の的である。その彼女が、門の前で、日頃噂されていた相手と抱き合っている。
すわ、三角関係か。
ゴシップ好きの女の子達がそのことに食いつかないはずが無い。もちろん、本物のあやめは安芸の隣にいるので、誤解以外のなにものでもないのだけれど。
おかえりコメディー。おかえり平穏。


安芸が花やしきを訪れてからほぼ一年。花やしきでのイベントは立食パーティーで始まり立食パーティーで終わります。
パーティーでの料理を作るために安芸とあやめが組み、蓮華が加わり、杜若のマンションへ押しかけてようやく4人が揃いました。勇気を出した蓮華、フォローする杜若。杜若を変装させ、初めて4人全員揃って参加したイベント。
最終回を前にしての大団円です。

「でも――気をつけて
 僕達はお前が思うよりやっかいだよ」



杜若はとっくの昔に壊れています。壊れたものは直せません。だから大切なものが壊れないよう守ってきました。
けれどあやめは壊れていました。

「どうにもならない事なんて
 もう楽しむしかないわ」


表紙の花は1巻の桜に始まり、2巻のあやめで繋ぎ、3巻の蓮華で締めました。
彼らの人生にも、名前と同じ綺麗な花が咲く事を願います。





昨日の記事は消えてしまいましたが、なんとか脳内サルベージに成功しました。
  拍手にて励ましのコメント頂きありがとうございました。
  コメント返信は基本的にしておりませんが、励みにさせて頂いております。


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