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嘘つきは妹にしておく 清水マリコ

2009年01月11日 23:59

嘘つきは妹にしておく

清水マリコさんが送る「嘘」三部作の一作目、可愛い女の子の姿をした妖精と共に消え行く物語の欠片を集めて修復する、「嘘つきは妹にしておく」をご紹介。

清水マリコさんといえば、以前はパラダイムノベルスにて「Kanon」や「君が望む永遠」など、数多くのPCゲームのノベライズを手がけた方です。原作に忠実なノベライズ作品はゲームの一シーンを読み返すのに最適でした。その後、MF文庫Jにて、清水マリコさん自身が主催する劇団「少女童話」で演じた作品(これが本作)をノベライズ化した事を皮切りに、次々とオリジナル作品を生み出してきました。
元々がノベライズ作家さんであった事もあり、オリジナルはどうかと思っていましたが、読んでみるとまあ、現実世界に生きる少年少女が少しだけ不思議な事態に直面することで人と心を通わせたり成長したりしていく、読了感の良い作品ばかりでした。

その第一弾として世に出たのが、本作「嘘つきは妹にしておく」。
少年が物語の欠片を集めるため、人々と心を通わしていく物語です。


主人公・ヨシユキは親が離婚している以外特に代わり映えもしない普通の高校生。ある日、彼のカバンに落丁だらけの本が入れられていた。白紙だらけでタイトルも出版社も書かれていないその本を最初は不気味に思ったものの、誰かの悪戯であろうと判断。今度は別の奴の机に入れてやろうと悪戯心を働かせる。
が、いざ他所の教室で実行しようとしたとき、私服の少女に止められる。
彼女は自身をその本の「妖精」であると称し、物語が壊れ散らばってしまったせいで、人々から忘れられもうすぐ消えてしまうのだと語る。
成り行きと軽い気持ちで物語を修復する手伝いをすると約束してしまったヨシユキ。近所の人に「妹です」と自己紹介してしまった妖精に「みど(服がみどりだったから)」と命名。

こうしてヨシユキは、登場人物と同じ数だけ分かれて散らばった物語を探すため、物語の欠片の持ち主を探す事になったのであった。


物語の欠片はある規則性を持ちます。
・物語は登場人物の数だけ分かれる。
・みどが物語を元に戻したいと思っているため、欠片はある程度近くに集まっている。
・物語の欠片はそれぞれの登場人物と似た人物に渡る。
・作中の登場人物との因縁や能力は、欠片の所有者同士にある程度反映される。
・みどは欠片の所有者が近くにいれば見える。しかし、欠片の所有者でない者はみどから離れると彼女のことを忘れてしまう。

そして欠片の数は8つ。
それぞれが登場人物であるアリス、イライザ、自縛霊子、ヒロミ先生、ナガタ先生、直ちゃん、純平、太田さんとして別れています。
因みにヨシユキとリンクする登場人物は太田さん。特に重要な背景も無い、傍観者的な脇役です。


本作の魅力は本物の妖精と共に、散らばった物語の欠片を集めていくファンタジー面にあると思います。が、物語には起承転結があるわけで、本作にも例に漏れずどんでん返しが待っています。
それはタイトルの「嘘つき」の部分。
「妖精だ」という点が嘘で無い以上、他の面で嘘をついていることになります。ご近所さんに臆面もなく「妹です」と嘯いた以外にも。
それは、「誰が物語を壊したのか」という1点。
みどはそのことについて知っていたし、それをヨシユキに話していれば物語の回収は格段に楽になる事実です。しかし、みどにはそのことを話せない事情があったのでした。そしてその事実は、「何故みどはヨシユキの下に現れたのか」という物語の根本に通じます。

それでも「嘘つきは妹にしておく」ことで、ヨシユキはみどを許します。
これは大切な人に嘘をつかれたとき、相手のことを考え、事情を悟り、心を通じ合わせて、許すことの大切さを書いた物語です。
許すなんて居丈高かもしれませんね。
大切だから一緒にいたい。ただそれだけです。

少年少女が老若男女問わず心を通じ合わせていく、心温まる物語。
興味を持たれた方には是非とも一読して頂きたい良作です。





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