--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ネムルバカ 石黒正数

2008年12月12日 23:59

ネムルバカ

カタカナにするとなんかそれっぽく聞こえるタイトル「ネムルバカ」をご紹介。

タイトル名は主人公の1人・鯨井ルカが組むインディーズバンド・PEAT MOTHの1曲と同名。
少々抜けた語感のあるタイトルの意味とは何か。
後輩の田口は言いました。
「アフリカっぽいですけど……」
また、後輩で同居人の入巣は言いました。
「どことなく日本語に聞こえるヒンズー語か何か奥の深い……」
漢字にすれば一目瞭然。
答えは「眠る馬鹿」。そのまんま。
入巣が寝ながら夢の中で口ずさんでいたメロディー。それに感動したルカが、詩をつけ発表したという逸話付き。
故に「ネムルバカ」はもう1人の主人公・入巣柚実を指す。

この物語は大学の女子寮で同室に暮らす先輩・鯨井ルカと後輩・入巣柚実の物語。
大学行ってる描写はあんま無いけど。


一話目初っ端から失踪を遂げる先輩。
バンドを組んでインディーズで頑張るものの、プロへの壁は厚く超えられない。しかも時折現れる天才はいとも簡単にその壁を飛び越えていく。
虚しくなって、大学の後輩・田口の車をかっぱらい当ての無い旅を試みる。が、偶然からあっさり入巣に見つけられ、あろうことか「かわいい家出」と評される始末。(以上1話)
基本的に才能もあり、常識人で、後輩の面倒見も良い先輩。
天然でちょっとお馬鹿で時折暴走する入巣と、慰め元気付け諌める先輩。
時間はあっても金がなく、のんべんだらりのぬるま湯生活を謳歌したり、ちょっと迷ったりと大学生らしい自堕落さを発揮する2人。
しかし、夢に向かって生きる先輩には、目的もなく日々を過ごす周囲の皆が不可解に映る。
一方で、周囲にとって大きな夢を語る先輩は宇宙人のようであり。

お互いに理解できない。

そしてある日、たまたま雑誌に載ったことを切っ掛けに容易くプロの壁を乗り越えた先輩。
大学を辞め、部屋を出て、一年。
鯨井ルカは謎のシンガー"A"として全国ツアーを果たす。
音楽プロヂューサーの言い成りとなり、己を隠して甘んじてプロデュースされてきた"A"。
しかし、ライブの最後に"A"はやってくれた。

「作詞… 私… 鯨井ルカ!!
 作曲…ピートモス! アンド… 入巣柚実!!
 ネムルバカ」

隠されていた名前を勝手に名乗り、インディーズ時代の曲を入巣のために歌う先輩。
ライブのチケットを送りつけてまで入巣を呼びつけ、ようやく「らしい」ことをしてくれた。
歌っている間だけ、入巣のもとへ先輩は帰ってきて。

かくして先輩は失踪を遂げる。


石黒正数氏の他作品でも感じる事なのですが、伏線を効かせて終始一貫した物語を構成する、上手い漫画家さんだと思うのです。
「ネムルバカ」と、それに関しての失踪という作品全体の流れも然り。
話数を跨ぐなら一発かましての「勧善懲悪」。
一話単位で見れば寿司嫌いやバイト、恋愛話に駄サイクルなどの伏線。

どこかコミカル、どこかシリアス。
けれどピンからキリまできれいに調和し、まとまった一作。

ヤングキングアワーズ連載作の「それでも町は廻っている」も傑作ですが、1冊にまとめられた本作も劣らず傑作です。
どこかで石黒正数氏の名前を知ったならば、是非とも一読して頂きたい。





コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://questmys.blog64.fc2.com/tb.php/163-23d4ee7c
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。