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鬼燈の島 1~2 三部けい

2008年12月07日 21:58

鬼燈の島_1鬼燈の島_2

ヤングガンガン連載作品、サバイバル、サスペンス、ホラー……いいえ、本作はミステリーです。
表題である鬼燈の島には謎がある。子供達はその謎を解き、生き残る事ができるのか。
「大人の言うことを信じるな」
三部けい作、「鬼燈の島」をご紹介。

作者の三部けい氏といえば、少年エースにて山田悠介原作の「パズル」を連載中。また、有名所では瓦敬助名義で「菜々子さん的な日常」を描いていました。
特に「菜々子さん的な日常」は成年誌掲載作でしたが、直接的な行為は無く、コメディータッチで愉快なエロスを展開していました。読んでて楽しくなる作品。エロ目的では使えませんが、読めば多数の人が「面白い」と感じる人気作です。

さて、では「鬼燈の島」はどうかと言えば、シリアスもシリアス。大分暗くて恐ろしい話です。
無力な子供達。
閉ざされた孤島。
襲いくる大人達。
そして、時折現れる幽霊の女の子。

子供達の目から見た、恐ろしい大人達の話。
疑心暗鬼に捕らわれぬよう、気をつけなくてはいけません。


主人公は小学4年生の鈴原心。5歳の妹・夢を連れ、離島に建てられた鬼燈学園へとやってきた。
人は少なく建物はぼろいが、親に捨てられ残飯を漁って暮らしていた時とは比べ物にならないほどである。
しかし、一つ上の須藤力也は「大人達を信じるな」と言う。心が来る前に、高知久信と言う少年が殺されたのだと。島には金山があり、学園長はそれを探している。そして、学園はそのための隠れ蓑である。また、一つ下の藤井秀一郎は言う。この学園は身寄りの無い子供達に多額の保険金をかけ、事故死に見せかけて金を得ている保険金詐欺を行っているのだと。
心は何を信じてよいか分からない。だがある日、同級生の宮澤初音が教師である桑館に襲われる場面に出くわす。また、一つ下の八海太からは、桑館の手により久信が殺された、という目撃談を聞く。
島にいれば殺されてしまう。そう感じた子供達は、嵐の翌日事故死した教師・臼井の初七日を行う間大人達が島を離れる機会に準備を整え、島からの脱出を試みる。

島に住むのは全部で10人。
4人の大人たちは全員教師。学園長に臼井、桑館、そして新任の女教師・雪乃。
子供達は6人。新しくやってきた心と夢の兄妹に、力也、初音、秀一郎、太。
またその他に、死亡した久信に、時折現れる幽霊の女の子がいる。

物語はほとんどが子供達の視点で語られる。そして子供達は皆疑心暗鬼に捕らわれ、大人達は信用できない、敵だと思っている。それ故、大人たちは襲い来る敵であるという視点が前面に出ている。

「大人のあたしと子供のこの子達ではおなじ物もまるで違って見えてるんだろうな…」

とは、雪乃の言である。たまに大人視点で物語が語られるとき、怪しいところはあるものの彼らは子供達を心配している。特に新米教師の甲斐雪乃は子供達のプロフィールを読み、子供達の心情を推し量って同情の念を見せている。
ミスリードとして現れるのは桑館。この男だけは本物のクズである。久信を撲殺し、同僚である雪乃にも手を出そうとし、さらには年端もいかない初音を襲い手篭めにしようとする始末。

また、大人たちの潔白を証明するための情報として、子供達の身上書の内容がある。

「大人を信じるな」と再三語る力也は、両親が服役中であることを知られないよう嘘を吐くようになる。そこから虚言癖と、自分の虚言から生じる妄想癖とを併発。彼が語る金山の話など到底信じられるものではない。
また、秀一郎が自分達に掛けられた保険から子供を殺しての保険金詐欺を疑うが、保険をかけることは普通だし、その額は明らかになっていない。また、秀一郎は母親に無理心中を強いられた経験から大人を敵視する傾向がある。ただそうだと思い込むばかりで根拠など何一つ無いのだ。

さて、ここまで大人側を擁護する意見を述べてきたが、拭い切れぬ怪しい点は確かにある。
かつて久信が使っていた机の引き出しには、血だらけのポケットナイフが。それは、心が無理矢理鍵を抉じ開け中を確認した翌日には、臼井の手により交換されている。
また、島にやってきた初日、雪乃から踏み入れてはならないと注意された階段。その先には「助けて」「やめて」「殺さないで」「お母さん」と床に壁に天井に、余すところ無く書き埋められた部屋が。
そして、もっとも大人達を怪しむ点に、刃渡りの長いナタ包丁の存在がある。彼らは夜外を出歩く際、必ずそのナタ包丁を持ち歩く。もちろん、脱走した子供達を追いかける際も。

果たして大人達の行為は子供達を思っての行為なのか。
対して、子供達を助ける様に逃げ場所へ導く幽霊は本当に味方なのか。


子供達よ、正直君達、やりすぎです。そりゃ先生たちも怒りますよ。がむしゃらなのは分かるけど、指の骨折られたり顔に熱湯(薬液?)かけられて怒らない人間はいませんて。

「言う事を聞く気は… ない様だな…
 足の一本や二本… 覚悟してもらおうか」

おじいちゃん怖いです。あんたそれで子供の味方とか言われても誰も信じねえよ。

あ、今読み返してて気付いた。臼井は単なる事故死と思っていたが、屋根の修理をする臼井の元へ向かう誰かがいる(1巻6話166頁2コマ目、ウサギの向こう側の梯子に手が伸びている)。
怖。

探せばまだ推理の種となる何かが潜んでいるやも知れない本作。
細かい点に目を配りつつ、次巻に期待。





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