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天外レトロジカル 全7巻 浅野りん

2008年11月16日 23:59

天外レトロジカル

時がいつかは知れぬ。場所がどこかは知れぬ。
閉じられた架空のレトロ空間。宇宙図書館コスモスにて星々が管理される中、地球もその一つであった。

浅野りんプレゼンツ、やや古くもあり懐かしくもあるレトロチックな世界感で、失われた記憶から生まれた歪みを正すため東奔西走する少年活劇「天外レトロジカル」。
明言されてはいませんが大正臭を感じます。古臭い漢字が多用されるところや、右から描かれた看板文字など。時代を感じさせる背景でありながら、ファンタジーであるため不思議と進んだ科学も同居する世界。それが物語にマッチしていて、とても良い雰囲気です。


舞台の中心に据えられたのは「天外屋」なる古びた長屋。住むのは変人ばかりときてる。そのせいか、名前を出しただけで人目を惹き警戒を起こさせる荒唐無稽な偏屈長屋。
選ばれた者しか住む事の出来ないと言われるその長屋。選ばれぬ者は特殊な磁場の影響を受け、足を踏み入れることすら適わぬ。

「荒唐無稽だと君は言うが この世は不思議な出来事で満ちているのですよ
 近い内 屹度君もその事を知るでしょう」

とは、天外屋を譲ってくれた爺様の言葉。しかし、その人は3ヶ月も前に故人となっていた。


ユーモアとシリアス、ノスタルジーとファンタジーの混ざり合った不思議な空間へようこそ。


主人公の御守諒平はごくごく普通の学生である。
飲み屋で老人と意気投合した彼の父は「天外屋」なる偏屈長屋を譲り受け、長屋の管理人として暮らすこととなった。
諒平は突拍子の無い事態に加え悪名高いとの噂を聞きつけ、不安になって長屋を下調べに行く。ひょんなことから、そこで出会った賭博士の虎太郎と共に天外屋へ忍び込む事となる。
虎太郎とはぐれ天外屋敷地内の裏山を彷徨う諒平。そこで彼は青白く光る岩を見つける。手を触れると岩は割れ、温泉と共に吹き出た少女が一人。
少女の名はあんじゅ。歪みの生じた地球を救済するため宇宙図書館コスモスより遣わされた派遣員である。サポート役の朱辿を従え、失くした星の記憶を集めるべく地球を訪れ、そして目覚めた。そして、目覚めさせた諒平は、彼女の「マモリベ」として記憶集めを手伝う事となる。
「マモリベ」の証として諒平の首下には「印石」と呼ばれる印が埋め込まれ、二十四時間周期で天外屋裏山に沸く温泉に浸からねば死んでしまう身となる。
また、時を同じくして彼らの下へ現れた闇の存在。コスモスが「強すぎる生命」として処分を決めたそれは、名をヤコウと言う。歪がなければ生きていけない存在であるヤコウは、あんじゅ達が星の記憶を集められないよう、力づくで阻害に努める。
果たして、諒平は星の記憶を全て集め、地球を元の姿に戻す事が出来るのか。

以上、1巻あらすじ。


地球を元の状態に戻すためには、あんじゅの持つ「命動の珠」の力により「物」の願いを聴き、叶え、彼らの持つ星の記憶を譲り受ける必要がある。
地球の危機を救うというシリアスな背景はあるものの、「物」の願いを叶えるために四苦八苦する様や彼らの日常を描く様はコメディータッチで描かれている。
一方で、対ヤコウに対してはお互いの生存を賭けた命と命のやり取りにまで発展する熾烈を極めた戦いが繰り広げられる。また、あんじゅを派遣しているコスモス陣営でも、穏健派(あんじゅ側)と強硬派(朱辿側)との派閥争いが存在し、一枚岩の協力関係とは言えない。

とはいうものの、やはりコメディーな作風に強い浅野りん作品であるため、「CHOKOビースト!!」当時から見せてくれる勢いや勘違いで突っ走る展開はユニークで、読んでいてなんとも楽しい。また、個性的なキャラクター達は各人が思い思いにドタバタと動き回り、これも矢張り読んでいて愉快である。


全7巻というそれなりの分量があり、始まりから終わりまでが一貫した纏まりのある本作。
ハズレの無い漫画家さんだなぁ、と安心して買えました。
現在は月刊コミックブレイドアヴァルスにて「パンゲア・エゼル」連載中。こちらは大体が1話完結の「天外レトロジカル」と異なり、完全なストーリー物。
そちらももちろん面白いのですが、シリアス分が多めの作品なので、こういったコメディー風味を沢山まぶした新作も出してくれないかなぁ、と我侭な希望をしております。

完結して1年ほど経ち、古本屋にも最終巻までぼちぼち見受けられるようになって来ました。見かけて1巻立ち読みし、気に入られたら集めてみては如何でしょう。







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