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「さあ、馬鹿を騙しに出かけよう。頭の天窓を開くために」 宵山万華鏡 森見登美彦

2009年07月12日 23:59

宵山万華鏡

宵山とは何ぞや?
宵山とは、京都祇園祭の7月16日。山鉾巡行(7月17日)の前日。
その日、一日だけが異界に混じり、不思議な出来事を表出する。
森見登美彦が贈る「宵山万華鏡」の感想です。

「奇怪、痛快、あったかい。」

「くるくるとまわり続けるこの夜を
 抜け出すことはできるのか。」

森見登美彦節の利いた境界ファンタジーの幕開けです。

舞台は京都。時は祇園祭の宵山。
行ったことないのでいまいち規模がピンと来ませんが、凄いらしいですね。
宵山と聞いて思い出すのは、

「誰が呼んだか宵山協定」
 By「鴨川ホルモー

どこで読んだか忘れてしまい、うっかり森見作品を読み返していました。
万城目学氏じゃぁないですか。

掲載誌は小説すばる。
6つの短編からなる、宵山を舞台とした一日の物語です。
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【新釈】走れメロス 他四篇 森見登美彦

2008年12月25日 23:59

【新釈】走れメロス

京都と京大と四畳半の部屋を舞台に男達のむさ苦しくも汗臭い物語を得意とする著者が、日本文学の名作を題材に記した物語「【新釈】走れメロス 他四篇」をご紹介。

題材となった作品は表紙に読める通り、以下の5作。

・三月記
著者は中島敦。清の「人虎伝」を元に、ある男の自尊心と捨てきれない執着から生まれた悲劇を描く。

・藪の中
著者は芥川龍之介。「今昔物語集」の説話を元にした、ある殺人事件に対する7人の男女の証言や告白を書く。物語は迷宮入りし、転じてその事を「藪の中」と呼ぶようになった程の作品。

・走れメロス
著者は太宰治。ドイツの古典主義作家フリードリヒ・フォン・シラーの詩『人質』を元にした、人質となった友人のために昼夜を走り己の死刑の場に戻り、暴君ディオニス王に信じる心を取り戻させるという感動話。

・桜の森の満開の下
著者は坂口安吾。桜の花の下では人の気が触れる、と恐れられていた時代、ある山賊が魔性の女と出会い、彼女の言うままに犯罪を犯し、最後には女共々消えてしまう……らしいのですが、ごめんなさい、原作読んだ事無いです。

・百物語
著者は森鴎外。百物語の集いの場に呼ばれた森鴎外自身が、主催者である飾磨屋と言う男について想像し、観察し、考えると言う話。

「桜の森の満開の下」は未読であるため原作との比較が出来ませんでしたが、その他の話は元となった話を踏襲し、もしくはパロディー化して森見登美彦節に改変されていました。
この物語を読めば、各々の原作の輪郭がぼんやりと見えてきます。
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夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦

2008年11月19日 23:59

夜は短し恋せよ乙女

ようやく手に入れ、やっとこ読み終わりました。
琴音らんまるさんの漫画版ではないですよ。
森見登美彦氏の原作の方です。

漫画版の方は最新3巻まで既に読了済みだったのですが、「原作も知らずに感想なんて書けますかぃ!」との思いでレビューしておりませんでした。これでようやく漫画版もレビューできます。

タイトルは大正の名曲「ゴンドラの唄」の歌詞から。

  いのち短し 恋せよ乙女
  朱き唇 褪せぬ間に
  熱き血潮の 冷えぬ間に
  明日の月日は ないものを

  いのち短し 恋せよ乙女
  いざ手をとりて 彼(か)の舟に
  いざ燃ゆる頬を 君が頬に
  ここには誰れも 来ぬものを

  いのち短し 恋せよ乙女
  黒髪の色 褪せぬ間に
  心のほのお 消えぬ間に
  今日はふたたび 来ぬものを

主人公である「私(先輩)」が恋する黒髪の乙女は歌ほど情熱的では無いですね。夜を歩き散策する好奇心の塊のような、ゆったりした娘。
ただし、わたしの頭には既に漫画版の可愛らしい乙女のイメージがあるので、小説から入った人には違うイメージがあるのかも。
原作表紙だって裸足で夜道に立つ可愛らしい乙女の絵なのだから、そう差は無いと思うのですが、如何でしょう。

因みに漫画版しか読む気の無い人にはネタバレになるかもしれませんのでご注意を。
原作版も漫画版も未読という方には普通にネタバレです。

ネタバレ嫌いな方はこの記事を飛ばすか立ち去るべきです。
続きを読もうだなんて以ての外!
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太陽の塔 森見登美彦

2008年11月13日 23:34

太陽の塔

森見登美彦氏のデビュー作、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
「太陽の塔」。

太陽の塔と言えばEXPO'70・大阪万博のモニュメント。
と、言っても、わたしは実物を見たことが無いのです。せいぜいが「20世紀少年」で万博万歳万博万歳やってるイメージしかない。
なので、題名の「太陽の塔」が何を指してのものか、始めは分かっていませんでした。表紙の左上に載っているにもかかわらず全く気付かぬ体たらく。

題名が何を指すのか、ようやく分かったのは物語りも中盤に差し迫ってから。
そこから終盤に向けて、太陽の塔というモニュメントが意味を持ち、物語の中に点在し始め、最後を締めくくった。

最後の最後でようやく理解の一端を得ました。
なるほど。太陽の塔か。

現実を生きているかと思えば妄想に耽り、妄想は人の夢まで侵し、再び現実に戻ったかと思えば覚めたか覚めやらぬかも分からぬ世界。
ふと気付けば迷っていた。
話の道筋に迷っていた。読めば読むほどに考えが迷った。
迷ったが、終着地点はハッキリしていた。それだけが始めから明文化されていた。

はて、終着だったか、執着だったか。

「ええじゃないか」

いいのかな?
まあいいか。
「ええじゃないか」と言っておけば。
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四畳半神話大系 森見登美彦

2008年11月03日 20:56

四畳半神話大系

森見登美彦氏をご存知の方いらっしゃるだろうか? 「知っている」という方は挙手を願いたい。
……ウム、なるほど。
では、作品名はどうだろう。現在月刊少年エース増刊エースアサルトにて、琴音らんまるさんの手により漫画化されている「夜は短し歩けよ乙女」。かの山本周五郎賞を受賞し、来年4月には舞台化もされる作品です。
……ほう、そうですか。ふむふむ。

はい、皆さん手を降ろして。
挙手されなかった方は作者ブログを参照されたし。彼の人について多少なりとも触れられると幸いです。日記という形式ですが、文体から森見登美彦氏の作風の一端が覗けます。
興味が出ましたらこちらの作者ブログ「この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ」をクリック。


今回ご紹介するのは、森見登美彦氏の次男、「四畳半神話大系」。
「夜は短し歩けよ乙女」の登場人物・樋口清太郎と羽貫涼子の両名も登場している。というか、こちらの作品が初出である。漫画版・小説版のどちらを読んだかは問わず、見知った登場人物の出る作品はいくらか取っ付きやすいものだ。

時は現代。
舞台は京都大学。
主役は三回生の「私」。
題中の「四畳半」とは主人公が住む下鴨幽水荘の間取りである。
また、きれいに敷詰められた正方形の形である。
四畳半を四半、それを即ち4分の1と判ずればそれは本作が4つの短編からなる話であることを表す。
更に言えば、当年二十と一つを数える人生の四半を迎えた主人公の事でもある。
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