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「さあ、馬鹿を騙しに出かけよう。頭の天窓を開くために」 宵山万華鏡 森見登美彦

2009年07月12日 23:59

宵山万華鏡

宵山とは何ぞや?
宵山とは、京都祇園祭の7月16日。山鉾巡行(7月17日)の前日。
その日、一日だけが異界に混じり、不思議な出来事を表出する。
森見登美彦が贈る「宵山万華鏡」の感想です。

「奇怪、痛快、あったかい。」

「くるくるとまわり続けるこの夜を
 抜け出すことはできるのか。」

森見登美彦節の利いた境界ファンタジーの幕開けです。

舞台は京都。時は祇園祭の宵山。
行ったことないのでいまいち規模がピンと来ませんが、凄いらしいですね。
宵山と聞いて思い出すのは、

「誰が呼んだか宵山協定」
 By「鴨川ホルモー

どこで読んだか忘れてしまい、うっかり森見作品を読み返していました。
万城目学氏じゃぁないですか。

掲載誌は小説すばる。
6つの短編からなる、宵山を舞台とした一日の物語です。
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「とある偏屈の恋煩い」 夜は短し歩けよ乙女 5 原作 森見登美彦/漫画 琴音らんまる

2009年03月03日 22:30

夜は短し歩けよ乙女_5

森見登美彦氏が精一杯の乙女成分を腹の底から搾り出し書き上げた小説「夜は短し歩けよ乙女」。
そこに琴音らんまるさんが可愛らしい容姿を与え命を吹き込んだ漫画版。
最終第5集が発売され、遂に完結してしまいました。

原作感想はこちらから。
第三集までの感想はこちらから。
第四集の感想はこちらから。

名作です。
原作、漫画版共に揃って名作です。
実に面白い。そして可愛らしい。故に良いことである。
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桜の森の満開の下 坂口安吾

2009年02月06日 23:45

桜の森の満開の下【新釈】走れメロス

昭和の文豪であり幅広く活躍した無頼派の作家・坂口安吾氏が書いた「桜の森の満開の下」。
実はイメージに挙げている単行本ではなく文庫版の「堕落論」(集英社文庫)に収録されているものを読みました。
いつもは短編集でも一冊読みきり、その本のレビューを行うのですが、今回はその中の一作のみを挙げます。
と、言うもの、過去に森見登美彦氏の「【新釈】走れメロス 他四篇」を読んだ際、坂口安吾氏の同名作を題材とした「桜の森の満開の下」だけが原作未読であり、十分な感想が書けなかったためです。
(他の作品がちゃんと書けてたかはさておき)

「【新釈】走れメロス 他四篇」の感想はこちらから。

森見登美彦作「桜の森の満開の下」は、ある女性との出会いを機に男が変わり、成功を収める物語。しかし、かつて捨ててきたものの素晴らしさを思い返し、取り戻すために「今」を捨てたとき、結果全てを失う事になった空虚な物語。
彼に確固たる意思はなく、けれど郷愁に抗う術もなく、緩やかに独りに戻っていきます。

原作を読み、なるほど、と感じ入りました。
原作から読んでいれば、この物語にまた違った思い入れが出来たであろう、と。

以下、原作の感想です。
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夜は短し歩けよ乙女 4 原作 森見登美彦/漫画 琴音らんまる

2009年01月27日 22:24

夜は短し歩けよ乙女_4

可愛い乙女に恋をした冴えない偏屈の恋物語。「夜は短し歩けよ乙女」漫画版第4集の発売です。

舞台は京都大学、時は文化祭。「私」はいとしき黒髪の乙女を求めて青春闇市たる唾棄すべき文化祭の中を徘徊していた。
京都大学の文化祭は今年も問題だらけである。友人である文化祭事務局長殿・北大路には同情の念を禁じえない。もっとも、なんのかんの良いながら楽しそうで幸いである。彼は学園を騒がせる「韋駄天コタツ」及びゲリラ劇「偏屈王」に振り回されていた。
恋に生き人事に関わる暇の無い「私」にとってそのような些細な万事は何事でもない。目的は乙女だ。
「私」の与り知る所ではないが、黒髪の乙女は持ち前の好奇心を精一杯に発揮して学園祭を満喫していた。
射的の景品である大きな緋鯉のぬいぐるみを背負い、自称天狗である樋口が振舞う「韋駄天コタツ」の豆乳鍋に舌鼓を打ち、パンツ番長と語らい、ざらりとした象のしりを撫でた。
文化祭の重要イベントを悉く網羅していく彼女は、「神様のご都合主義」と呼ばれるほどの強運を働かせ、最重要イベントであるゲリラ劇「偏屈王」に4代目・プリンセスダルマとして抜擢されたのであった。

そして、物語は今巻第4集へと続き、「御都合主義者かく語りき」が幕を開ける。
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【新釈】走れメロス 他四篇 森見登美彦

2008年12月25日 23:59

【新釈】走れメロス

京都と京大と四畳半の部屋を舞台に男達のむさ苦しくも汗臭い物語を得意とする著者が、日本文学の名作を題材に記した物語「【新釈】走れメロス 他四篇」をご紹介。

題材となった作品は表紙に読める通り、以下の5作。

・三月記
著者は中島敦。清の「人虎伝」を元に、ある男の自尊心と捨てきれない執着から生まれた悲劇を描く。

・藪の中
著者は芥川龍之介。「今昔物語集」の説話を元にした、ある殺人事件に対する7人の男女の証言や告白を書く。物語は迷宮入りし、転じてその事を「藪の中」と呼ぶようになった程の作品。

・走れメロス
著者は太宰治。ドイツの古典主義作家フリードリヒ・フォン・シラーの詩『人質』を元にした、人質となった友人のために昼夜を走り己の死刑の場に戻り、暴君ディオニス王に信じる心を取り戻させるという感動話。

・桜の森の満開の下
著者は坂口安吾。桜の花の下では人の気が触れる、と恐れられていた時代、ある山賊が魔性の女と出会い、彼女の言うままに犯罪を犯し、最後には女共々消えてしまう……らしいのですが、ごめんなさい、原作読んだ事無いです。

・百物語
著者は森鴎外。百物語の集いの場に呼ばれた森鴎外自身が、主催者である飾磨屋と言う男について想像し、観察し、考えると言う話。

「桜の森の満開の下」は未読であるため原作との比較が出来ませんでしたが、その他の話は元となった話を踏襲し、もしくはパロディー化して森見登美彦節に改変されていました。
この物語を読めば、各々の原作の輪郭がぼんやりと見えてきます。
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夜は短し歩けよ乙女 1~3 原作 森見登美彦/漫画 琴音らんまる

2008年11月21日 23:59

夜は短し歩けよ乙女_m1

原作感想から一日開きましたが、今回は漫画版「夜は短し歩けよ乙女」の感想です。
原作感想を未読の方はこちらもどうぞ。

はてさて、原作レビューの方でもちらと書きましたが、漫画版の乙女の容姿の、まあ可愛らしい事。

「可愛すぎる。これは問題である。しかしながら、可愛いことは良いことである」

とは第1集後書きとして寄せられた森見登美彦氏の言葉。
目は大きくてくりくりとしている、疑いを知らぬ純真な眼差し。短めの黒髪は艶やかに陽光を返す。背はやや低めか。姿勢良く背を伸ばし、歩く姿も座る姿も様になっている。
その彼女が、ことある毎に嬉しそうに笑うのである。好きな酒で喉を潤しては顔を赤らめにこりと微笑む。そして、不思議な事あらば胸を躍らせたり、阿呆のように口を開いてぽかんとする。時には困ったような顔をして大きな瞳をまんまるに開く。
ころころと移り変わる豊かな表情。そのどれもが愛らしい。
いやはや、然り、「可愛いことは良いことである」。実に良いことである。
そんな可愛らしさに触れて、陥落してしまった男がいる。

 好きな人が出来ました
 なんと愛らしい表情 愛らしい仕草
「これが…恋――!」
 なんと甘美な

世に言う一目惚れなるものに不意に出くわしてしまった先輩こと「私」は、彼女と良い関係になるため声をかけようとするのだが、思いと裏腹に体は動かず、なにやら名前も覚えてもらえないままストーカーよろしく彼女の姿を追いかけるのであった。

「私」頑張れ。
「私」超頑張れ。

かいつまんで言うと、そういう話。
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夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦

2008年11月19日 23:59

夜は短し恋せよ乙女

ようやく手に入れ、やっとこ読み終わりました。
琴音らんまるさんの漫画版ではないですよ。
森見登美彦氏の原作の方です。

漫画版の方は最新3巻まで既に読了済みだったのですが、「原作も知らずに感想なんて書けますかぃ!」との思いでレビューしておりませんでした。これでようやく漫画版もレビューできます。

タイトルは大正の名曲「ゴンドラの唄」の歌詞から。

  いのち短し 恋せよ乙女
  朱き唇 褪せぬ間に
  熱き血潮の 冷えぬ間に
  明日の月日は ないものを

  いのち短し 恋せよ乙女
  いざ手をとりて 彼(か)の舟に
  いざ燃ゆる頬を 君が頬に
  ここには誰れも 来ぬものを

  いのち短し 恋せよ乙女
  黒髪の色 褪せぬ間に
  心のほのお 消えぬ間に
  今日はふたたび 来ぬものを

主人公である「私(先輩)」が恋する黒髪の乙女は歌ほど情熱的では無いですね。夜を歩き散策する好奇心の塊のような、ゆったりした娘。
ただし、わたしの頭には既に漫画版の可愛らしい乙女のイメージがあるので、小説から入った人には違うイメージがあるのかも。
原作表紙だって裸足で夜道に立つ可愛らしい乙女の絵なのだから、そう差は無いと思うのですが、如何でしょう。

因みに漫画版しか読む気の無い人にはネタバレになるかもしれませんのでご注意を。
原作版も漫画版も未読という方には普通にネタバレです。

ネタバレ嫌いな方はこの記事を飛ばすか立ち去るべきです。
続きを読もうだなんて以ての外!
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太陽の塔 森見登美彦

2008年11月13日 23:34

太陽の塔

森見登美彦氏のデビュー作、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
「太陽の塔」。

太陽の塔と言えばEXPO'70・大阪万博のモニュメント。
と、言っても、わたしは実物を見たことが無いのです。せいぜいが「20世紀少年」で万博万歳万博万歳やってるイメージしかない。
なので、題名の「太陽の塔」が何を指してのものか、始めは分かっていませんでした。表紙の左上に載っているにもかかわらず全く気付かぬ体たらく。

題名が何を指すのか、ようやく分かったのは物語りも中盤に差し迫ってから。
そこから終盤に向けて、太陽の塔というモニュメントが意味を持ち、物語の中に点在し始め、最後を締めくくった。

最後の最後でようやく理解の一端を得ました。
なるほど。太陽の塔か。

現実を生きているかと思えば妄想に耽り、妄想は人の夢まで侵し、再び現実に戻ったかと思えば覚めたか覚めやらぬかも分からぬ世界。
ふと気付けば迷っていた。
話の道筋に迷っていた。読めば読むほどに考えが迷った。
迷ったが、終着地点はハッキリしていた。それだけが始めから明文化されていた。

はて、終着だったか、執着だったか。

「ええじゃないか」

いいのかな?
まあいいか。
「ええじゃないか」と言っておけば。
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四畳半神話大系 森見登美彦

2008年11月03日 20:56

四畳半神話大系

森見登美彦氏をご存知の方いらっしゃるだろうか? 「知っている」という方は挙手を願いたい。
……ウム、なるほど。
では、作品名はどうだろう。現在月刊少年エース増刊エースアサルトにて、琴音らんまるさんの手により漫画化されている「夜は短し歩けよ乙女」。かの山本周五郎賞を受賞し、来年4月には舞台化もされる作品です。
……ほう、そうですか。ふむふむ。

はい、皆さん手を降ろして。
挙手されなかった方は作者ブログを参照されたし。彼の人について多少なりとも触れられると幸いです。日記という形式ですが、文体から森見登美彦氏の作風の一端が覗けます。
興味が出ましたらこちらの作者ブログ「この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ」をクリック。


今回ご紹介するのは、森見登美彦氏の次男、「四畳半神話大系」。
「夜は短し歩けよ乙女」の登場人物・樋口清太郎と羽貫涼子の両名も登場している。というか、こちらの作品が初出である。漫画版・小説版のどちらを読んだかは問わず、見知った登場人物の出る作品はいくらか取っ付きやすいものだ。

時は現代。
舞台は京都大学。
主役は三回生の「私」。
題中の「四畳半」とは主人公が住む下鴨幽水荘の間取りである。
また、きれいに敷詰められた正方形の形である。
四畳半を四半、それを即ち4分の1と判ずればそれは本作が4つの短編からなる話であることを表す。
更に言えば、当年二十と一つを数える人生の四半を迎えた主人公の事でもある。
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